今までヒトキサンチンオキシダーゼのcDNAを決定するとともにクロモゾームマッピングにより第2染色体に遺伝子があることを明かにしてきた。今回キサンチン尿症の遺伝子の解析を試みた。 キサンチンオキシダーゼ欠損症には、3タイプあることが最近報告されている。タイプ1はキサンチンオキシダーゼの単独欠損であり、タイプ2はアルデハイドオキシダーゼとの両者の欠損、タイプ3はさらにサルファイトオキシデ-スの欠損の加わる欠損症である。一般にキサンチン尿症はタイプ1と2を指す。今回キサンオキシダーゼ蛋白の構造異常が原因と考えられるキサンチン尿症のタイプ1の解析を試みた。前回キサンチン尿症患者DNAについてサザンプロットを行い、制限酵素としてEcoRI、HindIII、BamH1、Spe1、Pst1を用い、プローブはヒトcDNAを使用し、新たなバンドの出現、欠失、バンドの移動度の差は認められず、キサンチン尿症の変異部位には、これらの制限酵素の認識部位はなく、またその変異は少なくとも大きな欠失や挿入ではないと考えられた。今回キサンチン尿症患者のリンパ球細胞株の継代にともない、キサンチンオキシダーゼのmRNAを認めなくなったため、genomeよりPCRを施行し解析を行った。5'端の近傍の571ベース及び3'端の近傍についてシークエンスを行った。その結果、これらの範囲に於いてアミノ酸配列で変異は認められず、この範囲ではキサンチン尿症タイプ1の原因となるような異常は認められなかった。現在placental DNAから作製したgenomic libraryよりscreeningを施行し、sequenceを施行している。またクロモゾームマッピングに関してはFISHとQ-bandingを行うことによりさらに詳細な解析ができたため、現在投稿中である。
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