研究課題/領域番号 |
05770803
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮田 敏男 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10222332)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 発作性夜間血色素尿症 / PIG-A / GPIアンカー型蛋白 / 体細胞突然変異 / RT-PCR |
研究概要 |
発作性夜間血色素尿症(PNH)は、溶血性貧血を主徴とする後天性血液疾患である。 私たちは、PNH患者由来欠損細胞株と同じ遺伝子に異常のあるヒトBリンパ球系欠損変異株を用いて、発現クローニングにより、これらの欠損変異株を正常株に転換する遺伝子PIG-Aを得た。本研究の目的は、PNH患者のPIG-A遺伝子を解析し、PIG-AがPNHの病因遺伝子であるかどうかを検討することにあった。 15例のPNH患者末梢血より多形核白血球を分離し、RT-PCRによりPIG-Aの翻訳領域を増幅しアガロース電気泳動にて解析した。その結果、3例は正常より小さなサイズを示し、11例は正常と同じサイズを示した。また1例の患者では全くPIG-Aのバンドが検出されなかった。 正常より小さなサイズの転写産物を示す3例の塩基配列を解析したところ、2例ともイントロンのスプライスサイトに点突然変異があることが明らかとなった。他の1例は、2番目のエクソンの3'部分が欠失した転写産物が主としてできていた。 次に正常と同じサイズのPIG-A転写産物を示す11例の患者において、これらのPIG-Aが正常の活性を有するかどうかトランスフェクションにより検討したところ、活性を持つクローンと活性を持たないクローンが存在しており、それぞれ正常細胞および異常細胞由来のクローンと考えられた。このうち2例の患者については、塩基配列の解析の結果、1例ではT残基の欠失が、もう1例ではA残基の挿入が活性を持たないクローンで認められた。残りの9例についてもトランスフェクションによって求めた活性のあるクローンとないクローンの割合は、FACS解析で求めた正常PMNと異常PMNの割合と非常に高い正の相関を有しており、翻訳領域に点突然変異が存在する可能性が強く示唆された。 以上、解析したすべてのPNH患者において、PIG-Aの量的あるいは質的異常を明らかにできた。この事実は、PIG-AがPNHの病因遺伝子であることを強く示唆すると考えられた。
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