1.分化誘導剤高感受性白血病細胞株の樹立 白血病細胞は各種文化誘導剤処理にて文化誘導されることがあるが、細胞株により感受性が異なる。我々はヒト骨髄性白血病細胞株ML‐1において分化誘導剤高感受性の株ML‐1(3)‐aを樹立した。また同時に分化誘導剤非感受性細胞株ML‐1(3)‐bも樹立した。ML‐1(3)‐aはTPA10ng/mlで高度の分化能を示し、ML‐1(3)‐bはTPAによっては細胞傷害濃度に至るまでほとんど分化を示さない。 2.dot blotハイブリダイゼーション分析 ML‐1(3)‐a及びML‐1(3)‐bをそれぞれTPA・VD3・レチノイン酸で処理し、経時的にmRNAを抽出した。これらのmRNAよりアイソトープラベルしたcDNAを合成した。横浜市大の大野らより分与された10種のC‐キナーゼ(PKC)の非標識cDNAをニトロセルロース・ペーパーにdot blotしておき、これにML‐1(3)‐a、bから得た標識cDNAをハイブリダイゼーションさせ、分化誘導剤処理後のPKCの発現量を経時的に観察した。(3)‐aでは処理後1時間でPKC betaII、PKC betaIが約13倍に上昇し、2時間で約5倍、2.5時間で処理前と同等レベルに戻っていた。またPKCthetaは2時間で約8倍に増加して、3時間で2倍、4時間で平常レベルに戻っていた。PKCepsilonは逆に2時間で通常の1/3に抑制されていた。(3)‐bではPKCthetaの上昇、PKC epsilonの低下がみられなかった。
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