本研究者は当該年度内に、20数例の骨髄異形成症候群(MDS)患者について、phosphoglycerate kinase遺伝子に関する制限酵素BstXIの認識部位の多様性を検索し、12例に同部位の多様性を証明した。 さらに、これらの患者より好中球、単球、NK細胞、T細胞を単離し、そのクローン性を検討すると共に患者リンパ球の抗腫瘍活性を測定したところ、以下の結果を得た。 (1)好中球、単球は1例を除く全ての例で、monoclonalないしはoligoclonalであり、これらの細胞はその多くが腫瘍clone由来であると考えられた。 (2)一方、NK細胞、T細胞はほとんどの例でpolyclonalであり、これらの細胞は正常clone由来と考えられた。リンパ球抗腫瘍活性の低下とclonalityとの間に関連はなかった。 これらの結果より、MDS患者にみられるリンパ球抗腫瘍活性の低下は、通常リンパ球が腫瘍cloneに組み込まれることで起こるのではなく、他の機序によることが強く示唆された。
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