腎血行動態におよぼすプロテインCの関与を解明すべく以下の検討を本年度実施した。 1.目的:in situ hybridization(ISH)による腎内プロテインCの局在の確認 対象と方法:240gのウイスター系ラットの腎切片に対してラットプロテインCのDNAプローブをhybridizeさせ、Digoxigeninによる酵素抗体法にてプロテインCのmRNAを確認する。 結果:部分的ではあるが近位尿細管においてプロテインCのmRNAが標識された。 考察:ISHにて生理的に重要な血液凝固制御因子であるプロテインCが近位尿細管において何らかの働きを持っていることが確証された。 2.目的:ISHによるpuromycin aminonucleosid(PAN)ラット腎内プロテインCの局在の検討 対象と方法:PAN投与4日目、240gのウイスター系ラットの腎切片に対してラットプロテインCのDNAプローブをhybridizeさせDigoxigeninによる酵素抗体法にてプロテインCのmRNAを確認する。またコントロールとして同重量無処置のウイスター系ラットに対し同様の操作を行った。 結果:コントロールでは前回に比しやや弱いながらも部分的に近位尿細管においてプロテインCのmRNAが標識された。しかし、PANラットにおいてプロテインCのmRNAの有無と思われる標識は認められなかった。 考察:ネフローゼ症候群のモデルとして知られるPANラットにおいてプロテインCのmRNAが標識されなかったことから、プロテインCが腎疾患の発症、進展に関与することが予測された。
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