研究概要 |
G蛋白に対するアンチセンスを用いて、G蛋白が腎尿細管(集合管培養細胞)の電解質輸送に直接影響を及ぼすか否かについて検討を行った。結果:G蛋白に対するアンチセンスはopen reading fromeとsplicingsiteについてGia,1,2,3およびGqの8種類を作成した。計画どおりアンチセンスをリン酸化して、細胞内で安定化し、48時間後に細胞全電流を検討したところ、Gi3およびGqはKイオンの輸送に直接影響を与え、K電流の低下または消失が認められた。 考案:以上のことからG蛋白受容体はsignal transductionばかりでなく、直接イオンの輸送を調節している可能性が考えられた。特に、尿細管ではホルモンの受容体が無いはずの管腔側にG蛋白が存在することが知られており、この役割に示唆を与える結果であった。さらにK電流へのG蛋白の影響は尿細管では初めての観察と考えられた。しかし、アンチセンスを打ち込んだ細胞を用い、RT-PCRによってG蛋白の発現を確認したところ、Gialpha3のアンチセンスを打ち込んだ細胞で、Gia3およびGqの両者のmRNAの発現が抑制されていた。また、Gqのアンチセンスを打ち込んだ細胞でも、同様にGia3およびGqの両者のmRNAの発現が抑制されていた。すなわち特異性に乏しい実験であった。このことはアンチセンスの限界であると共に、今後検討をしていく予定である。
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