1. 日本人の特発性膜性腎症については、HLAクラスII遺伝子のDRBI*1501、DRB5*0101、DQA1*0102、DQB1*0602と強い相関を有することを既に報告し、今回は、クラスII遺伝子の近傍に存在するクラスIII遺伝子について、その相関を検討した。クラスIIIには、BF、C2、C4A、C4B、のアリルが存在し、それぞれの頻度をもとめたが、正常対照と比較して、有意に頻度が上昇及び低下しているものはなく、またクラスII遺伝子との連鎖も見られなかった。また白人患者には、C4A遺伝子の欠失したものが多いが、日本人では正常対照者と比較して、頻度に変化はなかった。 2. 微小変化型ネフローゼ症候群については、DQB*0302との強い相関が有り、高令者及び小児のいわゆるステロイド反応性ネフローゼ症候群について、より相関が強かった。 3. IgA腎症については、DRB4*0101との相関が最も強く、腎障害を有する例に関して、DRB1*0405及び、DQB1*0401との相関が強かった。以上、特発性膜性腎症についての腎生検による病理的診断につぐ補助診断としてHLAクラスII遺伝子タイピングが有用であった。
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