101例を対象に出生時に採取した羊水と臍帯血のエリスロポエチンをRIA法にて測定した。出生前及び分娩経過中の産科側の情報を測定したエリスロポエチン値と比べることにより、胎児仮死の生化学的指標としての羊水エリスロポエチンの臨床的意義及び臍帯血エリスロポエチンとの相違について明らかにすることができた。その結果は(1)胎児仮死および新生児仮死のないAFD児における基本的検討:正常平均値を求めるとともに、臍帯血エリスロポエチンと羊水エリスロポエチンは相関するが、臍帯血エリスロポエチンは分娩経過の影響を受けやすい(2)胎児仮死例を含めた検討:臍帯血エリスロポエチンと羊水エリスロポエチンの正常範囲を設定するとともに、胎児仮死の指標としての診断的価値の判定(+2SDとすれば良好な臨床的有用性)となった。(1)については新生児学会誌に掲載予定(30巻第2号)(2)については平成6年5月の日本小児科学会において発表予定である。なお研究が順調にすすんだため胎児仮死の定量的な評価が可能なラットによる動物実験も計画中であり、このうちの一部については結果が出ている。今後はこの面で研究をいっそうすすめる予定である。
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