研究概要 |
7羽の雄性家兎に1.5mg/kgのLipopolysaccharide(E.Coli 055:B5,Difco)(以下LPSと略記)を耳静脈より単回静注することにより、24時間後、無処理家兎7羽と比較して、AaD02の開大(p<0.05)、肺湿乾重量比の増加(p<0.01)を認め、組織学的には、肺胞壁の肥厚が認められることから、家兎エンドトキシン肺水腫モデルとして利用できるものと考えた。一方、これまで遊離細胞に専ら使われてきたH_2O_2を電子顕微鏡で可視化するセリウム法を、Ce^<3+>を含む液を灌流する事により肺組織に応用し、組織内での多形核白血球(以下、PMNと略記)によるH_2O_2産生の局在を明らかにした。これにより、PMNと内皮細胞とが接触している部分の、PMN及び内皮細胞両者の細胞膜表面にセリウム塩の沈着を認め、内皮細胞と接していないPMN表面にはセリウム塩の沈着を認めないことを明らかにした。 以上の結果を得、1993年4月17日第8回日本Shock学会総会、1993年4月23日第18回日本微小循環学会総会においてその一部を発表し、後者の内容はMicrocirculation annual 1993に投稿した。さらに、本研究を詳述した論文を、1994年中に秋田医学に投稿予定である。 また、本実験モデルにおいては、少なくともLPS静注から48時間後までH_2O_2産生が認められるという結果も得、それも含め、1994年3月29日第94回日本外科学会総会において発表予定である。
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