手術部の保有する備品、消耗品について、基本的な情報である、名称、保管場所、適応手術症例、取り扱い業者、購入年度等に加えて、画像情報、特にビデオ画像からの動画を利用し、その形状、使用方法、保守方法を情報として加えた職員教育を目的としたマルチメディア化データベースを構築した。ハードウェアには特別な改造・増設の必要なくマルチメディア化が可能であるマッキントッシュクアドラ840AV(アップルコンピュータ)を、基本ソフトウエアには市販のカード型データベースソフトウエア、ワルツカード(サムシンググッド)を利用した。8mmビデオで撮影した画像を元に編集を行い、必要な部分をQuicTime形式の動画またはPICT形式の静止画として取り込みデータベース上にスーパーインポーズしてテキスト情報、音声情報を加えた教育的指向のデータベースを開発した。データベースはの保存には光磁気ディスクを使用した。 熟練した職員にとってはテキスト情報のみから把握できる情報も、教育的視点からはテキストに画像および音声を加えたマルチメディア化が効果的である。知識の取得と再確認が一種のゲーム感覚で可能であった。ビデオからの画像の取り込み取り込みは写真撮影と比較して、現像・焼き付け・イメージリーダでの取り込み等の手間が省けるメリットも大きい。しかし、当然であるがマルチメディア化したデータベースは容量が膨大となり、保存のためのメディアには大容量のハードディスクや光磁気ディスクが必要になる。ハードウェアにも従来の設備に画像・音声用のボードの追加が必要であろうし、操作の快適さを求めるためには高性能なCPUが必要である。現状ではこのようなハードウェアの性能上の制限があり、高機能な教育用マルチメディアデータベースが誰でも使用できる環境ではなく、操作の快適さも改善の余地がある。しかし近年の技術進歩、低価格化から鑑みると、その教育的効果を評価し、情報システムのマルチメディア化の医療分野への貢献の可能性は非常に大きい。
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