研究概要 |
1)雑種成犬21頭を用いて全身麻酔下に鼻咽頭温18℃の超低体温体外循環を行った。 2)7頭ずつ3群に分け、3種類の間歇的循環停止を行った。 1群:60分循環停止を行った。 2群:30分循環停止の後、10分再灌流させることを4回行った。 3群:20分循環停止の後、10分再灌流させることを6回行った。 3)各々について、脳血流、脳酸素摂取率、POS2,PCO2,pH,BE、乳酸、ピルビン酸、excess lactateを算出し、脳の好気性代謝及び嫌気性代謝を検討した。 4)excess lactateは、循環遮断20分後から急激に増加した。このことから、18℃の超低体温下では脳循環停止後、約20分後より、嫌気性代謝が優位に進行していくことが示唆された。また、10分間の再灌流時間の後では、脳酸素摂取率、PO2,PCO2,pH,BEは前値にまで戻り、脳の好気的条件は虚血後10分の再灌流で回復することが認められた。以上より、超低体温下循環遮断時には、比較的短時間(少なくとも20分以内)に一度再灌流を加えることによって、脳の嫌気性代謝の進行を抑制し、総許容循環停止時間を延長させうると考えられる。(平成5年11月、日本胸部外科学会総会において発表した。)
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