研究概要 |
先ず、マウス胎児・新生児のまだ未分化な心臓の細胞を使用して、その心筋細胞を培養し、心筋としての分化の途上にある細胞を、特異的に分離する方法の検討からはじめた。 第一に心筋細胞及び骨格筋細胞の培養細胞について、その発現遺伝子(骨格筋細胞での分化制御因子としてMyoDgeneなどがある)をさぐり、骨格筋細胞から心筋細胞への分化の可能性を判断するために純粋な培養系を得ることが必要と考え、線維芽細胞を選択的に認識する抗体を作成から試みている。 作成法としては、マウスの線維芽細胞株NIH3T3を使用し、その細胞の表面抗原に対する抗体の作成を考え、NIH3T3細胞をウサギに免疫し、得られた抗体のなかで心筋に反応するものを吸収してマウス線維芽細胞を認識し心筋細胞に反応しない抗体の作成を行っている。ウサギに対しての免疫は、NIH3T3の膜分画を抗原として行っているが、まだその抗体価が上がらず、なおさらに検討を加え再試行している段階である。 第二に、骨格筋細胞や心筋細胞に分化させれる事が確認されているマウスの樹立細胞株embryonal carcinoma cellP19lineを使用して、ほぼ純粋な骨格筋細胞の培養系に分化させる条件や方法の検討を試みている。報告例としては、Nature Vol.299,9September 1982,page165"Control of muscle and neuronal differentiation in a culured embrional carcinama cell line"M.W.McBurney et alがある。 この方法の確立が見られれば、この分化誘導に関与している遺伝子の確定を図ることができる。
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