成犬15頭を用いて、形状記憶樹脂の組織適合および強度について研究を行った。 1)2×2cm大の小片を、板状、メッシュ状にし、皮下に移植。術後1週、2週、4週後に摘出し、組織反応を調べた。板状、メッシュ状のいずれも周囲組織との癒着はみられず、また病理学的にも炎症反応はみられなかった。 2)助骨を10cmにわたり一本切除した群、二本切除した群、胸壁を10×10cm切除した群に分け、それぞれを形状記憶樹脂で補填した。術後外観上の変形は無く、胸部単純X線でも変形はみられなかった。呼吸機能に関しては血液ガス所見で検討したが、術前、術後で大きな変化はみられなかった。以上より、胸壁補填材料として形状記憶樹脂を用いた場合、強度、および術後呼吸機能に関しては今後更に検討を要するが、組織反応が無く、外観も問題が無い事より今後新しい補填材料となり得ると思われる。
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