実験は広背筋の被覆法の相違によるCardiomyoplasty法の心補助効果の相違についてでありGroupを3つに分けて行なうこととした。プロトコールはGroup1は右側広背筋のみとし、Group2は左側広背筋のみ、Group3は両側広背筋とした。各グループの対象数は7匹とした。本年度中に行ない得たのはGroup3の4頭とGroup2の2頭であった。 Group3では雑種成犬4頭を用いて全身麻酔下に急性実験として行なった。両側広背筋を神経血管茎を残して剥離し胸背神経が広背筋に入る場所の近くに双極の神経電極を挿入し第二肋骨を部分切除して胸腔内に挿入した。両側の広背筋を左側が下になるように心臓に被覆し心臓同期型骨格筋刺激装置(Telectronics社製Myostim)を用いて心臓に対して1:2となるように33Hzで刺激した。このうち1頭の左側広背筋が神経の損傷により収縮しなかったため除外したため3頭のデータであるが、刺激装置駆動時と非駆動時を比較すると心拍出量は16%増加、左室圧は18%の増加、肺動脈圧は64%の増加を示した。また、Group2ではGroup3と同様のプロトコールで心拍出量は6%、左室圧は3%、肺動脈圧は11%の増加であった。ここまでのデータでは対象数が少ないため統計処理ができないものの両側広背筋を用いたほうが心補助能がはるかに高い傾向を示している。今後数を増やしさらにGroup1を行い比較する予定である。
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