悪性gliomaの放射線感受性を知るため、放射線による個々の細胞のDNA damageを電気泳動し蛍光顕微鏡で定量する方法(SCG法)をヒトglioma細胞に対して行い治療効果との相関を検討した。対象;肉眼的全摘出手術が行われた10例の悪性glioma(G3-G4:21-74歳の男8例女2例)の手術摘出標本を初代培養した。方法;(1)glima初代培養細胞をtrypsin処理し、irradiationの後、細胞をlow melting agarose gelに浮遊させslide glassの上で固化。アルカリ処理の後、25V、20min.電気泳動を行いethidium bromideにて発色し、蛍光顕微鏡にて核外にDNAが泳動された細胞をDNAdamage陽性とし、その数を計測した。(2)DNA repairを知るために、irradiation後37℃にて2時間incubation後、同様にSCG法を行った。(3)さらに放射線照射終了から腫瘍再発までの期間をfollpw upし、SCG法によるDNA damage陽性率と腫瘍再発との相関を検討した。 結果;(1)6Gy照射直後のSCG法では、すべての症例で80%以上の細胞がDNA damage陽性であった。(2)6Gy照射後37℃にて2時間incubation後のSCG法ではDNA damage陽性率が10.5%-37.2%であった。(3)37℃にて2時間incubation後のSCG法でDNA damage陽性率が14.5%以下の3例は全例3カ月以内に局所再発が認められたが、17.3%以上の7例は6カ月以上再発が認められなかった。結論;SCG法はgliomaの放射線感受性の予測およびDNA damageの程度を知る上で有用であると考えられた。
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