研究概要 |
脳動脈瘤の外科的治療において,ネッククリッピングの不可能な動脈瘤について従来行われてきたcyanoacrylate系接着剤を用いた動脈瘤コーティングの長期成績は必ずしも良好ではなく,より有効なコーティング剤の開発が望まれている.このような状況を考慮して,現在,生体内吸収性高分子であるgelatinを水溶性カルボジイミドで架橋したgelatin hydrogelをDDSとして用い,脳動脈瘤外壁より塩基性線維芽細胞増殖因子(以下bFGF)を徐放することにより動脈瘤壁の線維化を促し破裂を予防するような新しいタイプの濃動脈瘤コーティング剤についての研究を行っている. in vitroでは,bFGFをgelatin hydrogelに含浸させ,hydrogelより放出されるbFGFの放出試験及び生物学的活性の測定を種々の方法で行っている. 動物実験では,ウィスターラットの総頚動脈外膜剥離モデルを用い,外膜を剥離した部位にbFGFを含浸させたgelatin hydrogelを埋植し,外膜の修復過程と周囲の線維化などを経時的に観察し,組織学的方法などを用いてbFGFの徐放の有効性を検討評価しているところである.また,hydrogelのpellet,film,microsphereを作製し,hydrogelの形態の違いによる効果の相違についても検討中である. 今後,生物学的効果の用量依存性についての実験,hydrogelの動脈瘤壁への接着法の検討,動脈瘤モデルを用いた実験などを行う予定である.
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