1.神経の凍結処理について:先端の温度が約-80℃の幅5mmのプローブを、ウサギの坐骨神経(大腿部)に接触させて神経を瞬時に凍結、その後自然融解させた。この処理により、神経はaxonotmesisとなることはすでに報告されている。凍結処理直後、神経伝導性の消失が誘発筋電図の導出試験により確認できた。また麻酔覚醒後より足部の自発運動・痛覚は消失した。しかし凍結後6週より運動・痛覚の回復の徴候がみられ、3カ月後にはほぼ完全に回復した。 2.坐骨神経の切断・縫合について:坐骨神経を大腿部鋭利に切断した後、顕微鏡視下にperineural sutureを行った。切断時にfuniculusの退縮がみられるという問題があったが、epineural sutureを行うことにより断端の一定した接触を得ることができた。 3.神経・筋の再生の機能的評価法について:坐骨神経の、(1)切断前、(2)切断・縫合直後、(3)再生後(8周後)、(4)凍結処理直後、(5)凍結処理再生後(8週後)の各々につき、坐骨神経中枢部位での脛骨神経成分、腓骨神経成分を選択的に電気刺激し、支配筋である前脛骨筋および腓腹筋の表面誘発筋電図の計測を行った。切断前、選択的刺激により支配筋より独立した誘発筋電図が得られた。通常の方法による誘発筋電図の定量的評価、同一固体での経時的変化については計測上の問題点が多くみられている。より再現性のある評価のために神経をつけたままの筋摘出による収縮力の評価を行っているが、(3)よりも(5)がより収縮力が大きいという結果を得た。 4.組織学的評価について:神経縫合部の摘出標本につき銀染色を行って、(3)と(5)につき神経の再生軸索を確認した。方向性については現在検索中である。
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