著者らは靴型足低力分布測定装置を開発した。この計装靴は(1)特殊センサにより、高速度の運動の測定も可能となり、(2)腰部の携帯ユニット内に足低力データを収録でき(3)フイールドでの拘束のない運動の足低力分布が測定できるなどの特徴がある。今回、本装置を用いて、(1)足底板の動的使用効果を調べた。(2)直線歩行時の足低力を調べ、足底の各部位の足低力の左右差とばらつきについて検討した。 足底板の動的使用効果:内側足底板使用、未使用で直線歩行および直線歩行の計測を行った。左右両則とも足底板を使用することによって、足底にかかる荷重の変化を認めた。走行中にも歩行時と同様の足底板を使用して、足底板の効果を確認した。以上の結果から足底板を使用することにより、歩行および走行時の荷重の移動を認めた。この効果は歩行時の方が走行時よりも優れていた。以上より、走行時にも確実に足低力の移動の効果を得るためには、足底板の材質の開発が必要と思われた。 (2)直線歩行時の足低力の左右差とばらつき:直線歩行の計測を行い、調査した項目は、連続30ステップから左右10ケ所ずつの足低力のピーク値を求め、左右の対応する部位の足低力のピーク値を比較し、さらに各部位での足低力のピーク値のばらつきなどを調べた。足低力のピーク値は、従来の足低力計測と同じようにheel strikeとtoe offに荷重の高まる傾向は共通していた。足低力の左右差は、支持脚のheel strikeとtoe offが大きかった。また、歩行周期で各部位の足低力を観察すると、toe offでばらつきが出現していた。特に支持足と考えられる左足のばらつきが大きかった。以上から、直線歩行の足低力分布解析には、左右の足それぞれについて解析する必要があるということと、連続歩行測定でデータを確認する必要があることが確認できた。
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