教室の田村らの解剖学的研究により指PIP関節の神経支配は固有掌側指神経から分枝した関節枝により支配されていることが判明したが、この指神経の関節枝が損傷された場合、関節軟骨にいかなる影響を与えるかにつき検討するため日本白色レグホン48羽を用い動物実験を行なった。実験群としてニワトリを次の4群に分け実験を行った。A群;左第3趾PIP関節の内側側副靱帯を温存し、両側趾神経の関節枝のみを切断したもの。B群;左第3趾PIP関節の内側側副靱帯切断し、両側趾神経の関節枝は温存したもの。C群;左第3趾PIP関節の内側側副靱帯および、両側趾神経の関節枝を切断したもの。D群;関節包のみを切開し、放置したもの。これを対照群とする。以上の各群のニワトリを術後、鶏舎内で自由に歩行させ、術後1、2、3、6か月で過量の麻酔薬を用い安楽死させ、以下の項目につき検索し、以下の結果を得た。 1.肉眼的観察;3か月と6か月のB群、C群の各1羽で関節軟骨の光沢の低下が見られたが、その他は正常であった。 2.X線学的観察;3か月と6か月のC群各1羽に骨硬化現象が見られたが、その他は正常であった。 3.組織学的観察;2、3、6か月のB群、C群の各1羽で軟骨表層細胞の変性が見られたが、亀裂や剥離は見られなかった。その他は正常であった。 以上よりB群とC群の間には有意差を認めず、これらの変性は靱帯切離による側方動揺性による影響が主であると考える。従って関節に負荷を加えるためにこれより広い鶏舎で術後自由に歩行差せ、さらに毎日30分のトレッド・ミルを行い検索を行う予定である。
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