不完全脳虚血時におけるグルコース負荷が、脳内乳酸アシドーシスを助長し神経学的予後を増悪させている可能性がある。このような病態時における血液脳関門のグルコース輸送能を評価することが、今回の実験の目的であり、本年度以下の実験を施行した。 脳内グルコース濃度のコンピュータシムレーション解析プログラムの作製。 血液中グルコースの濃度変化に対する脳内グルコース濃度の変化から、血液脳関門グルコース輸送機能を定量化できるコンピュータプログラムを作成した。(この成果は、1993年11月麻酔集中治療コンピュータ学会にて発表し、現在論文印刷中である。) ラット実験モデル作製 血液中へのグルコース負荷に対して、脳内グルコース濃度がどのように変化し、脳内乳酸生にどう影響するのかを把握し、in vivoでの脳内グルコースおよび乳酸濃度の測定技術を確立するため、ラットを使用したモデル実験を施行した。脳内グルコース、乳酸濃度の測定には、脳内微小透析法を用いた。(この成果については、1993年11月Horm Metab Resに論文発表した。) 血液脳関門のグルコース輸送能<分子生物学的レベルでの解明 上記モデルにおけるグルコースの動態が血液脳関門レベルでのどのような分子生物学的変化にもとずくのかを解明するため、グルコース輸送タンパクおよびそのmRNA活性の変化を促える実験を現在施行中である。
|