[1]ファーマコカイネティックスを応用した循環血漿量及び細胞外液量の測定 ICG血中濃度を住友電工社製ICGクリアランスメーターを用い、非侵襲的かつ連続的に測定した。得られたICGの血中濃度減衰曲線は、血漿・間質・肝排泄から成る2-コンパートメントモデルで解析し、血漿量・間質量及び胆汁排泄速度を計算した。健康成人11人において測定した結果、循環血漿量は41.3±3.1ml/Kg、肝排泄クリアランスは159.1±97.0ml/minとほぼ一定の値が得られた。一方、スクロースの血中濃度推移による細胞外液量測定を試みたが、測定値は非常に低値を示し、細胞外液量の測定法としての有意性は確認できなかった。 臨床応用 循環血液量と血行動態のパラメータとの相関を検討した。血行動態の指標として、肺動脈カテーテルを用い心拍出量、PCWPを周術期の患者において術前・術後を通じて測定した。一般に循環血液量の増加は心臓の前負荷の増加につながり、心拍出量及びPCWPの増加をもたらすと考えられるが、今回の測定結果では相関は見られなかった。体内の血管床には機能的血管床と非機能的血管床が存在し、血行動態を決定する因子は主に機能的血管床内の血液量であると考えられる。今後は血液量のみではなく、機能的血管床容量を評価する必要がある。
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