低血糖にて基質側を操作したときチトクロームオキシダーゼは酸化型が増加し、呼吸側を操作し無酸素とするチトクロームオキシダーゼは還元型に移行する。二系統の実験を同時に行ったときのチトクロームオキシダーゼの変化について検討した。 方法・結果 9頭の雑種成犬を用い麻酔はフェンタニール、ドロペリドール、ベクロニウムを使用し人工換気にて維持した。照射用及び受光用プローベは皮膚筋層を剥離し骨に4-5cm間隔で直接装着し、NIRO-1000にて脳内酸化還元変化をモニターした。 Fi02=0.21で換気回数を10回をコントロールとしレギュラーインスリンを静脈内投与した後持続投与し血糖値を低下させた。チトクロームオキシダーゼ以外のものに変化がなくチトクロームオキシダーゼだけが酸化型に移行した。 Fi02=0.21から0.07に下げ脳酸素供給量を減少させた。酸化型のヘモグロビンは減少し、チトクロームオキシダーゼの変化には有意差はなかった。 インスリンにて低血糖犬を作成し加えて低酸素(Fi02=0.07)とした。低酸素にて9頭中7頭に血圧及び血糖の上昇を認め低血糖に低酸素を加えたチトクロームオキシダーゼの変化についての検討は出来なかった。 低酸素環境における過換気の影響について追加実験を行い検討した。低酸素で酸化型のヘモグロビンは減少、チトクロームオキシダーゼに変化が無く、換気回数10回から30回の過換気にてヘモグロビンは酸化型に移行し、チトクロームオキシダーゼに変化はなかった。より脳酸素環境が悪化し酸化型ヘモグロビンがより減少しチトクロームオキシダーゼにも変化がでてくるものと考え実験を試みたが逆にNIRO-1000は脳環境改善として捕らえられた。これに関して検討中である。
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