今回、前立線癌再燃前および再燃後の患者から得られた組織用いIn vivoにおける再燃とEGF(Epidermal Growth Factor)との関係を検討した。 対象および方法 富山医科薬科大学付属病院泌尿器科にて治療中の前立線癌患者12名(再燃前7名、再燃後5名)を対象として、前立線生検をおこなった。(組織は同時に病理組織学的検討も行なった。)得られた各組織において抗EGF及び抗AR(Androgen receptor)を用いてEGFおよびARの多寡を検討した。またIn situ hybridizationをおこない各々のメセンジャーRNAの多寡を検討した。 結果 1.AR量は再燃前と再燃後で有意に減少していた(P<0.01)。また再燃前では病理組織学的にGradeが高くなるに従いARは減少した。 2.EGFに関しては再燃前、再燃後で増加する傾向を認めたが、統計学的に有意差は出なかった。またGradeとの関係も認めなかった。 3.ARおよびEGFのメセンジャーRNAの検討:ARメセンジャーRNAは、再燃前に比べ再燃後では有意に減少していた。EGFメセンジャーRNAについてはEGF同様、再燃前、再燃後で増加する傾向を認めたが統計学的に有意差は出なかった。
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