研究概要 |
われわれは、平成4年度の東部泌尿器科総会において、血精液症患者の経直腸的超音波断層法所見として、精嚢腺、射精管、前立腺等のejaculatory systemにさまざまな形態的変化が認められることを報告した。 ejaculatory systemの立体的な構造変化をあきらかにすることは、血精液症の本態を探求究する一端となるであろうと思われる。 平成5年度は研究計画にしたがって、経直腸的超音波断層法下でejaculatory systemを明確化する方法につき検討を重ねた。まず、逆行性射精管造影法の手技、画像増強方法を検討した。さらに、ejaculatory ductsのさまざまな形態を、精阜、精嚢腺、尿道等の周囲組織を含めて経直腸的超音波断層法により2方向性に画像化し、造影像と単純像ともになるべく多くの画像を得、これらを光磁気ディスクに記録した。現在、その画像を三次元的に表示、合成し、解析可能なシステムとする方法を検討中である。また、画像の正確な評価を行なうために、前立腺の摘出標本と、摘出前の超音波画像を比較し、組織と画像所見との相関をはかった。 ejaculatory systemに対する3次元的な画像解析は最終的な目標であるが、今年度中では、検討にとどまった。 今後、3次元的画像解析システムを作成し、血精液症患者での形態変化として、高頻度に認められるcystic changeと,ejaculatory systemとの立体的な相関関係をあきらかにするべく検討をかさねる予定である。 さらには、3次元的画像解析を用いての各種疾患への応用、前立腺癌の早期診断、病期診断、また、不妊症での形態異常の解析等についても、考えていきたい。
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