羊水循環として羊膜表面の毛細血管からの吸収分泌が行われているが、妊娠20週以降において無機能腎を有する胎児が羊水過少を呈するようになるごとく、羊水の主たる産生・吸収は胎児によってなされるようになる。即ち、羊水の主たる産生部位は胎児尿と考えられ、一方羊水の吸収部位としては胎児の嚥下により消化管内に取り込まれることにより吸収されるものと考えられる。胎児の尿産生に関してはCampbellの報告以来、多数の検討がなされており、胎児の尿産生は妊娠週数の進行に伴い次第に増加して妊娠後期に至りプラトーとなる。羊水の消化管からの吸収に関しては定量化の指標に乏しく報告はなかった。妊娠週数の進行にもかかわらず羊水ポケットは変化しないことより、産生の増加にみあった吸収がなされているものと考えられる。 今回、我々の胎児胃に関する検討より、胎児胃の蠕動運動は妊娠16週より始まり次第にグループ化し、妊娠32週にはほぼ成熟胎児の胃蠕動と同じ形式を示した。胎児胃の断面積による評価を行ったころ、胎動時に胃の増大を認め胎動に一致して嚥下運動が起こっているものと思われた。更に明らかな胎児異常を認めない羊水過多において、尿産生量には増加傾向が認められ、また胎児胃の蠕動は正常妊娠胎児に比べ減少傾向にあった。胃の蠕動運動が羊水の吸収量に直接相関するとは限らないが、羊水過多の原因に胎児尿量の増加と共に嚥下吸収の変化が関与している可能性が示唆された。
|