現在まで、習慣流産患者群として5例、また対照となる正常者群として7例の、計12例に対し検索した。 12例より採取した末梢血より、リンフォプレップを用いた比重遠心法でリンパ球を集め、その中からヒツジ赤血球とのロゼット形成およびOKM1、OKT3モノクローナル抗体による抗原抗体反応を利用しTリンパ球およびモノサイトの除去を行い、Bリンパ球のみを採取した。こうして集めたBリンパ球をリンパ球刺激物質を混じない状態で培養し、培養3日目に^3H-TdRを添加し、リンパ球内への^3H-TdRの取り込み量を測定することによりリンパ球増殖能を評価した。また培養5日目に、プロテインAで感作したヒツジ赤血球に対するlgGプラーク形成法により、抗体産生能を評価した。 結果として正常者群7例のBリンパ球の^3H-TdR取り込み量(増殖能)が平均0.93±0.43cpm×10^<-3>であったのに対し、習慣流産患者群5例の取り込み量は1.31±0.72cpm×10^<-3>となっておりBリンパ球増殖能に関して両群間に有意な差は認められなかった。また正常者群のlgGプラーク形成能は平均30.6±7.2lgG-PFC/2×10^4B cellsであったのに対し、習慣流産患者群のそれは48.6±15.2lgG-PFC/2×10^4B cellsとなっておりBリンパ球の抗体産生能に関しては若干習慣流産患者群で高い傾向にあるが、両群間に有意差は認められなかった。以上の結果より習慣流産患者において、Bリンパ球のみの存在下でBリンパ球が自発的に機能亢進するPolyclonal B cell activationが起こるという明らかな証拠は現在までのところ得られていない。今後もっと症例を増やし、同様な結果となるか否かを検討したい。
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