1.正常絨毛組織におけるインヒビン/アクチビン・サブユニットの局在 正常絨毛組織におけるインヒビン/アクチビン・サブユニットalpha、betaA、betaBサブユニットは、Syncytiotrophoblast(S-cell)に局在し、Cytotrophoblast(C-cell)には局在しなかった。妊娠初期絨毛では、alpha、betaAサブユニットの染色は非常に強く、betaBサブユニッtの染色は殆ど認められなかった。妊娠中期の絨毛では、全てのサブユニットの染色がS-cellに認められた。妊娠後期になると、alphaサブユニットの染色は弱まり、betaA、betaBの染色は強く認められた。以上のように、正常妊娠絨毛においては妊娠週数によって各サブユニットの染色性は変化し、産生される蛋白が変化する可能性を示唆するものである。 2.胞状奇胎絨毛/侵入奇胎組織におけるインヒビン/アクチビン・サブユニットの局在 胞状奇胎絨毛および侵入奇胎の絨毛形成部では、alphaサブユニットはS-cellに局在したが、C-cellには局在しなかった。一方、betaA、betaBサブユニットはS-cellおよびC-cellに局在した。侵入奇胎の筋層内浸潤部位では、betaA、betaBサブユニットの局在をExtravilloustrophoblastに認めたが、alphaサブユニットの局在は認められず、アクチビンの産生が示唆された。以上のように、異常絨毛組織では各サブユニットの局在は正常絨毛と異なり、このことが絨毛の腫瘍性増殖に関与していることが示唆された。 3.絨毛組織におけるインヒビン/アクチビン・サブユニットの産生調節 絨毛をhCG、EGF等を添加し培養を行い、実験を進めている所である。
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