1.切迫早産58例、前期破水22例につき羊水中TNFalpha、lL1beta、lL6、lL8の測定を行った。このうち子宮収縮剤による収縮抑制困難例は、抑制例にくらべ4者とも有意に羊水中濃度の上昇を認め、早産例の予後判定に有用であると思われた。2.羊水採取後24時間以内に分娩に至った症例につき胎盤、臍帯の炎症所見と羊水中濃度と比較したところ、前例がBlancの絨毛羊膜炎stage2以上を示し、4者ともstage3(28例)はstage2(9例)にくらべ有意に高値を示した。また胎児感染の指標となる中山の臍帯炎分類ではstage0からstage2までの各間では有意差を認めないものの、確実に胎児感染の存在をしめすとされるstage3のlL1beta、lL6、lL8濃度は、stage2濃度に比べ有意に高値を示し、子宮内胎児感染の指標に十分なりえると思われた。3.早産、前期破水例及び正期産の胎児付属物から脱落膜、絨毛膜、羊膜を採取し、リバーストランスクリプションPCR法によりlL6mRNA、lL8mRNAを検出したところすべての例で脱落膜に強く抽出された。また出生児に子宮内感染があった例では、絨毛膜、羊膜、羊水にもlL6mRNAを認め、羊水中にもっとも強く抽出された。以上のことこらサイトカインの産生部位としては、通常は脱落膜の母体側免疫担当細胞によるが炎症の進展により胎児側の免疫担当細胞からも産生が加わると考えられる。4.脱落膜由来の線維芽細胞にTGFbetaを0から12ng/mlまで添加したものにTNFalpha、lL1beta、lL61ng/mlで刺激したところPGE2、PGF2alphaの産生が抑制され、子宮収縮に関与することが示唆された。
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