研究課題/領域番号 |
05771286
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
工藤 美樹 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80241082)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ヒト胎盤 / アミノ酸輸送 / 成長因子 / 胎児発育 |
研究概要 |
ヒト胎盤の絨毛上皮細胞は表層のsyncytiotrophoblastと下層のcytotrophoblastに分類されているが、このうち細胞表面が小腸吸収上皮、腎尿細管上皮のような刷子縁膜構造を形成し、その部位が母体血と直接に接しているsyncytiotrophoblastが母体から胎児への物質の輸送において重要な役割を果たしていると考えられている。そこでヒト胎盤における物質輸送の研究にはsyncytiotrophoblastの単層培養系を確立する必要がある。キレ-ティングセファロースにて部分精製したコラゲナーゼ(10mg/ml)と0.001%のDNase-Iを用いて胎盤絨毛部分を個々の細胞に分散後、Percoll密度勾配遠心法、さらに培養基質として上皮細胞とのみ接着するコラーゲンを用いることにより比較的他の細胞の混入の少ないsyncytiotrophoblast単層培養系を確立することができた。現在、この系を用いてアミノ酸輸送の諸性質の解析を行っており、胎児の発育に関与しているとされている成長因子のひとつであるインスリン様成長因子(insulin like grouwth factor-I;IGF-I)およびその特異的結合蛋白であるinsulin like growth factor binding protein(IGFBP)がこの細胞におけるアミノ酸輸送活性を調節することが判明した。すなわちIGF-Iは濃度依存性にglycineの細胞内への取り込みを促進した。またIGFBP-IはIGF-Iによって促進されたglycineの取り込みを濃度依存性に抑制した。さらに細胞を非代謝性アミノ酸であるアミノイソ酪酸(AIB)であらかじめ飽和した後に培養液にIGF-Iを添加すると、細胞より培養液中へのAIBの放出は明らかに促進された。したがってIGF-Iはsyncytiotrophoblastにおけるアミノ酸の取り込みと放出の両方の系を活性化し、母体から胎児へのアミノ酸の経胎盤性輸送を促進していると考えられる。さらにこれらの因子による栄養代謝物の経胎盤性輸送の調節により胎児の発育が制御されている可能性が考えられる。
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