研究概要 |
妊娠マウスの中期に両側顎下腺切除を行うことによりEGF欠乏が発症した。この動物モデルでは、子宮内胎仔死亡の発生率が高く、また胎盤重量には影響を及ぼすことなく、asymmetrical IUGRがもたらされることを明らかとした。(Am.J.Physiol.vol.264,R597-R600,1993) このEGF欠乏によるIUGRモデルでは、母獣のグルコース濃度には影響が見られないものの、胎仔では血中及び臓器(脳,肝臓)中のグルコース濃度が低下していることが明らかとなった。また、非代謝性グルコースである^3H-2-deoxyglucose(^3H-2DG)並びに非代謝性アミノ酸である^<14>C-aminoisobutylic acid(^<14>C-AIB)同時母獣投与では、このIUGRモデルでは^3H-2DGの胎盤通過性が選択的に障害されていることを明らかとした。(投稿中) さらに、これらの病態の原因として、胎盤での糖輸送担体(Glucose transporter,GLUT)のうち、胎児側でのGLUT3の発現障害が関与している可能性が示唆された(投稿中) これらの異常は、両側顎下腺切除の上に抗EGF抗体を投与することによりさらに顕著となり、逆にEGFの補充により改善されることから、EGFに特異的であることが明らかとなった。
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