まず、VZVについてPCR法の至適反応条件の設定、特異性、感受性の検討を行った。ついで、Hunt症候群患者から得られた水泡や痂皮などから、PCR法によりVZV-DNAの検出を試みた。また同時に血清学的にVZVのウイルス抗体価の変動も検討した。 PCR法にはその特異性を考慮して、VZV-DNAのgpI領域に対応するプライマーを用いた。反応条件はアニーリング60゚C、2分間、伸長72゚C、5分間、変性90゚C、1分間で30回の増幅とした。これにより得られたDNAを電気泳動し、gpI領域に一致する677bpのPCR産物が得られたことを確認した。さらにサザンブロットハイブリダイゼーションにより、これらのPCR産物がVZV-DNAより得られたものであることを確認した。また、CMV、HHV-6、HSV-1、HSV-2について同様の反応を行い、この反応がVZVに対して特異的であることを確認した。 次に、この方法をもちいてHunt症候群患者の水泡3例、痂皮9例、および口蓋の潰瘍の拭い液1例を材料として検討を行った。これらのすべての検体でVZV-DNA陽性であった。また、アシクロビルの前投与は全身投与、局所投与にかかわらず、PCR反応の結果に影響を与えなかった。一方、抗体価の変動の検討をおこなった10例中9例は血清学的にもVZVの再活性化が証明されたが、1例については血清抗体価の変動を確認できなかった。このように、PCR法によるVZV-DNA検出がHunt症候群において非常に感度が高く、診断法として確実であることが証明された。 今後、さらに他の検体や、他のウイルスについてもPCR法を用いて同様の検討を行っていく予定である。
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