研究概要 |
(対象および方法) 本年度は主に嗅覚刺激に伴う脳磁界の変化について検討を加えた。実験にはボランティア6名(男性6名、平均年齢26.7才)を用いた。嗅覚刺激には、呼吸同期式のニオイパルス刺激装置を用いた。ニオイガスの投与は、内径2mmのテフロンチューブを、鼻前庭部より約1.5cm鼻内上方に向けて挿入し、嗅裂部近くでニオイガスを投与するブラスト法を用いた。4呼吸に1回の頻度で吸気相にのみ、ニオイガスを投与した。ニオイ刺激には、0.02%のアミルアセテートを用いた。脳磁図の測定には3チャンネルのDC-SQUID(GWR Inc. San Diego, U.S.A)を用いた。脳波の測定も同時に行い、脳磁図と比較した。脳磁図の測定部位はSQUIDの位置を順次移動して測定を行うことにより計15ヶ所とした。脳波の記録には日本電気三栄製の1A97型多用途脳波計を用いた。脳波の測定部位は国際10-20法より16ヶ所を選んで行った。脳磁図および脳波の加算回数は、20回とした。脳磁図および脳波の計測および加算には、日本電気三栄製のシグナルプロセッサー7T18を用いた。 (結果) 我々はblast method(吹き付け法)で、ニオイガス刺激を加えることにより良好な嗅覚誘発電位が得られることを既に報告している。我々が得た嗅覚誘発電位はN1、P1、N2、P2、P3の基本的には5つの要素により構成され、N1、P1、はニオイガスの鼻腔内三叉神経刺激によるChmosensory somato evoked potential (CSSEP)、N2、P2は嗅覚刺激によるChmo sensory evoked potential (CSEP)である。Pは、P300に相当するピークである。今回検討を加えた脳磁図においても、基本的には嗅覚誘発脳波と同様の潜時をもつそれぞれのピーク (N1m、P1m、N2m、P2m、P3m)が観察された。
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