研究概要 |
家兎毛様体にある交感神経beta受容体、およびVIP受容体の感度の日内変動を検討した。12時間明室、12時間暗室となる環境下で家兎を2週間飼育した後、薬殺し眼球を摘出した。薬殺の時刻は、点灯6時間後(0600CircadianTime,CT)、消灯2時間後(1400CT)および消灯10時間後(2200CT)とした。眼球から毛様体をとりだし、0.01から10muMのイソプロテレノール、0.01から5.4muMのVasoactive Intestinal Peptide(VIP)および、10から1000muMの水溶液フォルスコリンと反応させた。産生されたcyclicAMP量をラジオイムノアッセイで測定し、各時間毎の容量反応曲線を比較した。 イソプロテレノールと毛様体を作用させると、容量依存性にcyclicAMPが産生された。cyclicAMPは1400CTに最も多く合成された。VIPは2200CTに最も良く作用した。イソプロテレノールもVIPも毛様体採取時刻によってEC50は変化なかった。水溶性フォルスコリンも容量依存性にcyclicAMPを増加させたが、cyclicAMPの産生量は毛様体採取の時刻に関係なかった。 このことはなんらかのシグナルが受容体からアデニレートサイクラーゼまでの間に作用した、抑制性のG蛋白系に作用した、あるいは直接アデニレートサイクラーゼに作用したなどの可能性が考えられる。アデニレートサイクラーゼ以降の情報伝達システムは受容体感受性の日内変動とあまり関係がない。EC50が変化しないことから、イソプロテレノールとVIPのそれぞれの受容体に対する親和性に変化はない。家兎毛様体のbeta受容体、VIP受容体の感受性に日内変化があることがわかったが、その日内リズムを制御するシグナルがどこに作用するか、どんな機序で感受性が変化するか、いまだ不明である。
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