HTLV-I感染が関連してぶどう膜炎が発症することが明らかになり、HTLV-I associated uveitis(HAU)と名付けられた。HAUを発症させる遺伝的背景を明らかにするために、HAU51例のHLAタイピングを実施し、既に報告されている九州在住の一般健常人のデータや、HTLV-I associated myelopathy(HAM)および成人T細胞白血病(ATL)のデータと比較した。 HAUにおける個々のHLAタイプの抗原頻度を求めた。大部分のタイプは一般健常人における頻度と比較して差異はなかったが、クラスI抗原のB51とクラスII抗原のDR14、DQ7は一般健常人と比べてHAUで有意に頻度が大きかった。一方、有意に頻度が小さかったのは、クラスI抗原のCw3(+9+10)であった。 また、HAU各症例のハプロタイプをImanishiの方法で推定し、一般健常人やHAMやATLのハプロタイプと比較した。一般健常人と比較してHAUで有意に多かったハプロタイプは、A2 Cw3 B35 DR4 DQ4、A2 Cw7 B39 DR14 DQ7、A24 Cw-B51 DR14 DQ7、A24 Cw-B61 DR9 DQ3、A24 Cw1 B62 DR4 DQ4、A2 Cw7 B62 DR14 DQ1の6種類であった。特にB51 DR14 DR7とDR14 DR7が集積した。HAUとHAMとATLのハプロタイプを比べると、HAUとHAMに共通のハプロタイプは44.2%、HAUとATLに共通のハプロタイプは10.8%、HAMとATLに共通のハプロタイプは26%、HAUとHAMとATLのすべてに共通のハプロタイプは6.9%であった。よってハプロタイプからみると、HAUはATLよりHAMに近い集団であると考えられた。 以上のことからHAUの発症にHLAに関連した免疫応答遺伝子の機能が関与している可能性が考えられた。
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