SOD遺伝子に関してはSOD1のエキソン2、5とSOD2のエキソン2のSSCP解析を行ったが塩基置換は検出できなかった。一方、網膜色素変性症類縁疾患の解析では小口病1患者にペリフェリン/RDS遺伝子コドン152がメチオニンからバリンに置換する変異を検出した。この変異はヘテロ接合であり、他方のアリルのコドン152は正常であった。なお、この変異は正常人40人には認められなかった。小口病は常染色体劣性遺伝といわれており、ペリフェリン/RDS遺伝子が小口病の病因ならばもう一つの変異が存在するはずなので、この患者のペリフェリン/RDS遺伝子アミノ酸コード領域とスプライス領域の全塩基配列を決定したが変異は検出されなかった。しかし今回はプロモーター領域の解析は行っておらず、また、アミノ酸非コード領域、停止コドンの59塩基下流(nt1340)には塩基置換が見い出されており、その塩基置換も正常人40人には見い出されていないことなどより、ペリフェリン/RDS遺伝子が小口病の遺伝子である可能性は残されていると思われる。さらに、常染色体優性錐体杆体ジストロフィー1患者においてペリフェリン/RDS遺伝子コドン15がリジンからアルギニンに置換する変異を検出した。欧米ではペリフェリン/RDS遺伝子の他のコドンの異常で常染色体優性錐体杆体ジストロフィーが起こることが報告されており、この変異も病因である可能性が高いと思われる。この変異が正常人に認められるか否かは現在解析中である。
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