生後1週間以内のラットの網膜を摘出し、タンパク分解酵素を用いて処理し、さらにパイペッティングを行い、網膜細胞の単離を行った。この細胞をコラーゲンでコーティングしたシャーレ上で培養することで網膜神経節細胞の変化を検討した。 網膜神経節細胞を同定するために、生直後のラットの視交又部にgranula blueを注入させておき、この色素を逆行性に軸索輸送させる。この方法により単離された細胞のうち、紫外線で蛍光を発する細胞が網膜神経節細胞と同定できる。 神経突起の再生がこれらの網膜神経節細胞のいくつかでみられた。さらに、この再生には、混在している眼内のグリア細胞の主成分であるミューラー細胞の関与が考えられる。特に、ミューラー細胞との接触により神経突起の再生が促進されるため、ミューラー細胞から何らかの栄養因子が供給されていると思われる。 このミューラー細胞は神経成長因子(NGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)の発現に大きく関わっているため、今後ミューラー細胞中に存在するNGFおよびFGFを確認し、神経再生との関係を調べる予定である。
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