目 的:実験的自己免疫性ぶどう膜炎(experimental autoimmune uveitis;EAU)を惹起する網膜可溶性抗原(S-Ag)の中で、病原性のるアミノ酸配列としてpeptide Mが知られている。このpeptide Mと相同性(homology)のあるウイルスや細菌のアミノ酸配列を合成し、これらをルイスラットに免疫することでEAUが惹起されることを報告してきた。今回、我々は、網膜S-Agを発現するリコンビナント大腸菌を作成し、同時にpeptide Mと相同性をもつyeast histone H3のアミノ酸配列をもつイ-スト菌自体を直接ルイスラットに免疫することによってEAUを惹起するかどうか調べてみた。 方 法:網膜S-Agを発現するリコンビナント大腸菌や、イ-スト菌自体を直接ルイスラットに免疫し、EAUの発症、リンパ球の幼若化反応およびELISAによる抗体産生を調べた。対照としてS-Agを発現していないリコンビナント大腸菌をラットに免疫した。 結 果:網膜S-Agを発現するリコンビナント大腸菌や、イ-スト菌自体を直接ルイスラットに免疫することでEAUが惹起された。これらのラットより採取したリンパ球は、S-Agの病原性のアミノ産配列であるpeptide Gやpeptide Mを認識し、幼若化反応を示した。また、これらのラットの血清中には、S-Agに対する抗体も産生されていた。しかし対照群ではEAUは惹起されず、リンパ球の幼若化や抗体産生もみられなかった。 結 論:自己抗原をを発現する微生物(microorganism)や自己抗原とhomologyのある蛋白をもつmicroorganismによりEAUが惹起されたことは、自己抗原とhomologyをもつウイルスや細菌などの感染により自己免疫疾患が惹起されることを示唆するものである。
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