研究概要 |
私は既に、モノサイト特異的走化性活性化因子として同定されたMCP-1が、骨芽細胞より産生され、破骨細胞前駆細胞の骨局所への集積を促進させる可能性を示唆する知見を得ていた。またごく最近、同因子がヒトモノサイトにおいてもMac-1の発現を促進し、IL-1、IL-6の分泌を増加させる等、走化性活性以外の新たな機能を有する事が明かとなった。破骨細胞前駆細胞がmocyte lineage由来とする報告もあり、破骨細胞の形成において同因子が何らかの影響を与える可能性が考えられた。そこで、spleen由来単核細胞とstoromal細胞とのco-culture系を用い、TRAP陽性多核の破骨細胞様細胞の形成におけるMCP-1の作用を検討したところ、MCP-1が破骨細胞様細胞の形成を有意に促進する知見を得た。即ち、6-8周令のBALB/Cマウスの脾細胞から密度勾配遠心法により単球/リンパ球画分を採取し、この細胞群とmouse storomal細胞であるPA-6とをco-cultureし、TRAP陽性で多核の破骨細胞様細胞を形成させた。さらに、この培養系にリコンビナントMCP-1を添加し、同細胞の形成に与える影響を検討した。その結果、リコンビナントMCP-1は1,25(OH)_2D_3破骨細胞様細胞の形成促進作用を相乗的に促進し、この作用は濃度依存的であった。また、同因子単独添加においては、破骨細胞様細胞の形成に影響は認められなかった。さらに、この促進作用は坑MCP-1抗体の添加により完全に抑制された。以上の結果は、モノサイト特異的走化性活性化因子として同定されたMCP-1が、骨形態調節機構においても機能的役割を演じている可能性を示唆するものであり、同因子の新たな機能を明らかにするものと考えられる。
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