軟骨内骨化のメカニズムを探る目的で、ラット肥大軟骨細胞における基質蛋白遺伝子の発現をin situハイブリダイゼーション法を用いて調べた。 1)材料と方法:正常ラット(8週令)及び下垂体除去ラットの下顎頭と大腿骨を用いて脱灰組織のパラフィン切片を作成しin situハイブリダイゼーション法と免疫組織化学染色を行った。プローブはラット由来のType Iコラーゲン、オステオカルシン、オステオポンチン、マトリックスGIa蛋白のcDNAからDIGを用いて標識した非放射性RNAプローブを用いた。免疫組織化学では、ラットのType Iコラーゲンとオステオカルシンに対するポリクローナル抗体を用いた。 2)結果:正常ラットにおける肥大軟骨細胞ではオステオポンチンとマトリックスGIa蛋白の遺伝子発現が見られた。Type Iコラーゲンとオステオカルシンは一次海面骨の骨芽細胞に遺伝子および蛋白の発現が見られたが、肥大軟骨細胞には見られなかった。下垂体除去ラットの肥大軟骨細胞でのオステオポンチンとマトリックスGIa蛋白の遺伝子の発現は正常ラットのものに比べて著しい減弱を示した。 3)考察:軟骨内骨化に重要な役割を果たしていると考えられる肥大軟骨細胞に、オステオポンチンとマトリックスGIa蛋白が遺伝子レベルで発現されており、さらに骨格の成長に著しい影響を与える下垂体除去ラットの肥大軟骨細胞では、これらの基質蛋白の遺伝子発現が減弱していることが確認された。これらの所見よりオステオポンチンとマトリックスGIa蛋白は軟骨内骨化と密接に関連した蛋白であることが示唆された(現在投稿準備中)。ラット軟骨のプロテオグリカンのコア蛋白とType XコラーゲンのcDNAより作成したプローブを用いて肥大骨軟骨細胞のものに機能変化を現在検討中である。
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