PCNAがCisplatinによるDNA損傷修復に関与し、口腔癌細胞のCisplatin感受性決定に影響を与えるか否かを免疫病理学的な面からの検討を行なっている。 40症例の口腔原発扁平上皮癌症例の初診時生検材料を用い、酵素抗体SAB法でPCNAの免疫染色を行い、オリンパス・タブレット操作型ビデオミクロメーターで陽性細胞率を測定し、各症例のその後の治療経過を観察してCisplatin感受性症例および抵抗性症例についてPCNA陽性細胞数の相異を現在検討中である。各症例の厚切り切片によりShutte-Vindelphiv法によって分離した扁平上皮癌細胞のFacscan/Cell FITシステムによるDNA解析を行った結果、異型角化細胞を多く含む口腔扁平上皮癌細胞では本法による解析は不可能であった。 現在、上記の検討と同時にACAS570レーザーサイトメーター(MERIDIAN社製、組織・付着細胞機能顕微蛍光自動解析システム)を用いて正常歯肉上皮細胞およびCisplatin感受性口腔癌細胞核内に誘導されるPCNA-DNA複合体の形成を解析中である。さらに最近KB細胞(鼻咽腔原発扁平上皮癌由来培養細胞株)を用いてCisplatin耐性KB細胞を樹立し、継代KB細胞とPCNA陽性細胞率の比較を行なっている。また、これらの株をBalb-cヌードマウスに移植し、固型腫瘍を形成し、同様の検討を行っている。
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