研究概要 |
実験的にラット皮下組織に出現させた巨細胞について病理組織学的,酵素組織化学的に検討した。実験方法は,Hydroxyapatite(HAP),beta-Tricalium phosphate(TCP),牛骨粉末(BP),およびCholesterrin(CHOL)の4種類の材料を25mum以下の大きさに調製し,ラット背部の皮下組織2箇所に各10mgを埋入して。そして3日例,1,2,3,4週例の計100匹200個の試料について病理組織学的に検索した。酵素組織化学的には,非特異性エステラーゼ(NSE),酸性フォスファターゼ(ACP),酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP),塩化シアヌル抵抗性酸性フォスファターゼ(CCAP),塩化シアヌル・酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(CCTP)の各種酵素活性について検索した。なお酵素組織化学の判定には,カラー画像解析装置を用いて単位面積当りの陽性部分の面積率を測定し統計処理を行った。その結果,陽性率は,高い順からHAP群,TCP群,CHOL群であり,各実験群間には危険率1%で有意差を認めた。さらに各群における陽性率の経時的推移は,HAP群で2週例,TCP群で3週例,BP群で4週例,CHOL群で1週例にそれぞれ最大値を記録したことから,埋入材料によって陽性率の経時的推移が異なることが判明した。とくに,NSEの陽性率はHAP群,TCP群,BP群では経時的に増加したのに対し、CHOL群では逆に減少したことは,無機質と有機質との性質の相違によるものと考えた。また,TRAP陽性だけでは破骨細胞と同定できないと思われた。 本研究の要旨は,第36回歯科基礎医学会総会(1994年10月17・18日)において発表する予定である。また今後は,実験動物の例数を増やし,とくに単核食細胞が癒合していると思われる部分の微細構造について,電顕的検索を主体に行いたいと考えている。
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