研究概要 |
使用菌株としてPorphyromonas gingivalis381,ATCC33277,BH18/10,HW24D1,OMZ314,OMZ409,ATCC49417,6/26,HG564を用いた.P.gingivalis381株の線毛遺伝子(fimA)のDNA塩基配列をもとにプライマーを設計した.各菌株より抽出した染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行ったところ,いずれの株からも約1.3kbのDNA断片が増幅された. このPCR産物を各種ベクターに組込み,E.coliDH5およびJM109株に形質転換した.ベクターと宿主の組み合わせで得られたクローンについてその発現量とクローンの安定性を比較した.その結果pUC19をベクターとして用いたり,宿主としてE.coliDH5株を用いた場合ではクローニングされたfimAは非常に不安定であった.低コピー数ベクターのpMW119を用いた場合安定ではあるが,発現量が非常に少なかった.発現のためにTrcプロモーターを持ち,同時にlacIリプレッサーを持つpTrc99と,宿主側にもlacIリプレッサーを持つE.coliJM109株との組み合わせが安定な発現を示したが,組換え線毛の発現量はあまり多くなかった. 各菌株由来のfimAのDNA塩基配列をジデオキシ法で決定した.比較してみるとfimAのオープンリーディングフレームの上流および下流域では,ほとんど同一であったが,fimA部分では変化が見られ大きく4つのグループに分類できた. DNA塩基配列の解析によればfimAは大腸菌の典型的なプロモーター構造を上流に持たず,開始コドンも一般的なATGではなくGTGであり,これが組み換えタンパクの発現が弱い原因と考えられた.そこで開始コドンをATGに変換し,pTrc99のTrcプロモーター直後にfimAがつながるようプライマーを設計した.PCR産物をクローニングするとこのクローンでは多量の組換えタンパクの発現量が見られた. なお本研究で得られた各P.gingivalis fimA遺伝子のDNA塩基配列はDDBJDNA data bankにAccession No.D17794-D17802で登録した.
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