研究概要 |
破骨細胞のリソゾームプロテイナーゼの一つであるカテプシンLの、骨基質タンパクの分解を検索する目的で、その実験材料である高度に精製されたカテプシンLの調整を行った。従来、カテプシンLの精製は非常に困難であり大変な労力を必要としたが、本研究ではファルマシア社から新しく供給されたゲル担体を数種類使用することによって、この点を改良した。まず、70匹のラットから摘出した腎臓をミンスした後に、300mlの0.25M蔗糖を加え、ホモジナイズを行った。 これを11,000xgで30分間遠心しリソゾームに富む沈澱を回収した。沈澱に400mlの50mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加え3回凍結融解を行うことによりリソゾーム膜を破壊し、リソゾーム性酵素に富む画分(Crude extract)を遠心抽出した(105,000xg,30分)。タンパク質を20-80%硫安で回収した後に、50mMの酢酸緩衝液(pH5.0)にて透析を行った。この標品をS-Sepharose FFカラムに添加した。カテプシンLは300mM NaCL濃度で溶出されたので、この画分を濃縮後、順次Con A-Sepharoseカラム、Blue Sepharoseに添加し、カテプシンLのみを含む活性画分を回収した。さらにSuperdex-75ゲルろ過カラム、Mono S陽イオン交換クロマトグラフィーイ-を行い最終的な標品を得た。精製されたカテプシンLは、非変性条件下のゲル電気泳導において単一なバンドを示し、還元条件下のSDS-ゲル電気泳導において25kDaのバンドを示した。精製度はCrude extractに比べて19倍であり、最終的に0.14mgのカテプシンLを得ることが出来た。
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