研究概要 |
(対象と方法)対象患者は北大医学部付属病院放射線科にて根治的組織内照射を行い、かつ病理組織標本の保存されていた、1980年より1990年までの舌の偏平上皮癌(T1-2,N0)患者20名(うち女性11名、平均年齢49.9才)である。 (結果)20名全体の平均観察期間は80か月、5年生存率84.4%だった。20名の病理組織の分化度の内訳は、garad1(T1=4,T2=6)およびgrade2(T1=7,T2=3)が10名づつでgrade3の症例はなかった。gradeによりTstageに偏りがあるため、Tstageにも注目し分析を行った。以下、Kaplan-Meier法、Logrank testによる解析結果を列挙する。 1、grade1(n=10)とgrade2(n=10)の5年生存率の比較 grade1=78.8%、grade2=90% 両者に有意差なし 2、T1(n=11)とT2(n=9)の5年生存率の比較、 T1=100%とT2=66.7% 両者に有意差あり(p<5%) 3、grade1(n=10)とgrade2(n=10)の5年loco-regional contorolの比較 grade1=80.0%、grade2=70.0%両者に有意差なし 4、T1におけるgrade1(n=4)とgrade2(n=7)no5年loco-regional contorolの比較 grade1=100%、grade2=71.4%両者に有意差なし (まとめ)今回の分析では、Tstageにより予後に差がみられたため、組織型による予後の差は判然としなかったが、結果3、4においてgrade2が、grade1よりloco-reginal controlが悪い。これらは、未分化な腫瘍ほど頚部リンパ節転移が多い可能性を示唆しており、今後症例数を増やしてさらに検討を重ねたい。
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