研究概要 |
今回の研究では、骨粗鬆症の診断などに多用されているDual energy X-ray absorptiometry(DXA法)による骨密度測定の測定限界を調べることを目的とし、更に本法の顎骨への臨床応用の可能性について検討を行った。 まずDXA法の測定限界の検討については、DXA装置としてはQDR-1000(Hologic社製)を使用し、プラスチック製の円筒形チューブ(直径1.0cm、長さ3.0cm)に0.1-1.0gの種々の濃度のハイドロキシアパタイト水溶液を入れ、測定を行った。測定値を真値と比較した結果、相関性ではr=0.99(p<0.0001)と良好な結果が得られた。しかしDXA法の測定値は真値と比較して約5.0%低下していた。 次にDXA法の精度の評価のために、解剖体より摘出した踵骨11個を水中に入れ、DXA法で測定を行った。その後踵ほねを灰化し、灰重量をDXA法で求めた測定値と比較した。その結果、DXA法で求めた骨量と灰重量との間には良好な相関が見られた(r=0.97,p<0.0001)。ハイドロキシアパタイトの実験と同様に真値と比較して約6.0%の測定値の低下が見られた。 最後にDXA法の顎骨への臨床応用の可能性について検討を行った。健常ボランティア3名の下顎骨体部をDXA法でそれぞれ3回ずつスキャンし、左下顎第1第2臼歯根尖部に1cmx2cmの関心領域を設定し骨密度を求め、その変動を調べた。その結果、測定値の変動は変動係数で0.6%と良好な結果が得られた。 以上のようにDXA法は優れた測定精度を有し、その顎骨への応用も十分可能であることが明らかになった。しかし実際の患者において本法を応用する際には測定時間が5分程度かかることから、適当な頭部の固定具が必要であると考えられるため、今後の検討課題としたい。
|