半導体CCDをセンサーに用いた新しいデンタルX線イメージングシステムに対して、テクスチャーの周波数特性に応じた選択的画像処理等を検討した。ダイレクトにX線照射して得られるデジタルX線像を処理するためには、デジタルイメージとしてダイナミックレンジが広いことが必要な要件のひとつである。そこで、CCDを用いたこのシステムの特性を検討し選択的画像処理を試みた。数種のシステムのうちRadioVisioGraphy(RVG-S)およびSens-A-Rayを使用した。 1.長い照射時間においては暗電流が増加することから、Sens-A-Rayにおけるコントラスト分解能は低下した。両システムにおいては、CCDの電気信号は8ビットでデジタル化されているに過ぎない。暗電流によって有効なピクセル値の範囲が狭まっては、加算減算等を繰り返す画像処理には向かない。したがって、暗電流の上昇は選択的画像処理の実行においては避けなければならない。 2.コントラスト分解能の良い原画像を得るために、菅電圧を変えたりK殻吸収端フィルターを付加する試みを行った。ステップウエッジを撮影したところ50kVpより90kVpの方が高い分解能を与えたことは、これまでのX線フィルムとは逆の結果であった。NbやGdを主成分とするフィルターも分解能を高くすることに貢献した。 3.8ビットのピクセル値の変動のなかで強調処理などを行った。輪郭強調/平滑化処理はX線像の見やすさを向上させたが、不要な部分のコントラストを抑制することは臨床使用では好まれなかった。TIFFファイルとして扱い、パソコン上で空間周波数に依存したアンシャープマスクをかけることを試みた。カリエス等の像を見やすくすることができた。これに関する定量的な評価を今後行いたい。
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