研究概要 |
骨髄細胞の破骨細胞への分化誘導における細胞内シグナル伝達の解析をおこなうために、1alpha、25(OH)2D3により骨髄細胞をmonocyte-macrophage系細胞へ分化誘導する際の細胞内シグナルである細胞内因子の精製を試みた。 実験の材料と方法 1)100nM1alpha,25(OH)2D3によりヒト白血病HL-60細胞をmagnesium-free培地にてmonocyte-macrophage系への分化誘導にcommitさせる。この操作により細胞内分化誘導因子が活性化される。 2)Harvestした細胞をhomogenizeし、FPLC(Pharmacia)を使用しカラムクロマトグラフィ法により細胞内分化誘導因子を分離精製する。カラムとしては、DEAE、MonoQ、Hydroxyapatite、ゲルフィルトレイションカラムなどを使用。 3)Assayの為には、各フラクションをHL-60細胞に直接、又は、エレクトロポレーション法により添加し、NBT還元能にて分化誘導を判定する。 実験の結果と考察 1)まずホロファイバーを利用し大量培養を試みたが、HL-60ヒト白血 病細胞は旭メディカル社のカルチャーフローシステムMにては、20% FCSを用いさらに自動的にpH及びDOを調節しても、培養初期の1 x10^6cells/ml以上の濃度には増殖しなかった。 2)他社のホロファイバーシステムも試みたが、結果はカルチャーフローシステムMの使用時とほぼ同様で、期待した高濃度の生細胞は得られなかった。 3)次に細胞沈殿管を利用したメディウム循環式の細胞大量培養装置(図1)を用い自動的にpH及びDOを調節し、さらに10%FCSを含むRPMI1640メディウムを1-1.5L/日の速度で循環させたところ、3-4x10^6cells/mlの比較的高濃度の生細胞を得た。現在さらに高濃度の生細胞を得るために条件を検討中であるが、高濃度のFCSが必要であれば経済的に問題があり、血清無添加の条件での高密度細胞培養法の確立を検討している。
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