抜去歯から作成した象牙質片の被験面をルートプレーニングし、超音波洗浄した後クエン酸処理することにより、直径4〜6mumの象牙細管が開口した。被験面に0.5〜1mumのハイドロキシアパタイト(HA)をすり込むことにより、被験面に厚さ5〜10mumのHAの層が形成され、象牙細管内には4〜8mum侵入した。その後、流水で洗浄することによりHAの層は薄くなり、歯ブラシで洗浄することにより被験面からほとんど除去されたが、象牙細管内のHAは残存していた。しかし、さらに超音波洗浄することにより、象牙細管内のHAは、ほとんど除去された。 被験面のHAを流水で洗浄した状態の象牙質片を、被験面が露出する様にレジンシーネに埋め込み、口腔内に装着した結果、1週間後には被験面のHAは消失し、その後徐々に象牙細管内のHAが消失していき、4週間後にはほとんど消失した。 以上の結果から、象牙細管が開口することによって引き起こされる象牙質知覚過敏症の治療にHAを用いた場合、1か月程度の効果は期待できると考えられる。しかし、今回の研究は抜去歯を用いており、象牙細管内の内溶液の影響を考慮していない。今後、生活歯を用い、再石灰化の有無についても検討する必要があると考えられる。
|