辺縁性歯周炎罹患歯肉におけるメタロプロテアーゼの発現状況を解明するために、まずヒト歯肉組織の収集を行ない、これまでに9人の患者から歯肉を採取し、無固定で、あるいは固定ののち凍結してから-80℃の冷凍庫で保存中である。それら材料に、ヒトのメタロプロテアーゼに対する抗体を用いた免疫染色を行なうことを試みたが、免疫染色用抗メタロプロテアーゼ抗体は市販されていないため、現在までのところ、抗メタロプロテアーゼ抗体を使用した免疫染色を実施できない状況である。ただし、本邦のある研究者がヒトのメタロプロテアーゼに対する抗体を作製し、それを使った免疫染色のデータを発表しているのをつい最近になって知ったので、その抗体を供与してもらう交渉を行なう予定であり、もし、その抗体が入手できれば直ちに収集した歯肉材料に免疫染色を行なう予定である。また、メタロプロテアーゼのmRNAの発現状況をin situハイブリダイゼーションにより組織切片上で観察するため、in situハイブリダイゼーションの手技に関する文献を集め、さらにその手技を習得するため有料の講習会にも参加した。それから得た知識を元に、in situハイブリダイゼーション用の標識合成オリゴヌクレオチド、標識オリゴヌクレオチド検出試薬等を内外の業者に発注した。しかし、1ケ月以上も前に発注したにもかかわらず、海外のある業者からは薬品類がまだ送られてこないため、in situハイブリダイゼーションを実施できない状態である。in situハイブリダイゼーション用の薬品類が整ったら、直ちにメタロプロテアーゼの一つであるコラゲナーゼのmRNAの発現状況を組織切片上で検出、観察する予定である。
|