骨移植材は歯周治療で広く応用されるようになってきたが、移植後早期における組織変化に関する報告は少ない。そこで、今回は研究方法の確立、検索方法の有益性を調べた。 実験方法は、ラット頭頂骨に直径1mmの骨欠損部に歯周治療用骨移植材として、牛除タンパク焼成骨(True bone ceramic:TBC)、コラーゲンをコーティングした牛除タンパク焼成骨(C-TBC)およびハイドロキシアパタイト(HAP)0充填後、経日的に病理標本を作製し観察した。Hematoxylin-Eosin染色にて病理組織学的検索を行い、抗ラツトポリクロナール抗体を用いた間接蛍光抗体法にてI型、III型コラーゲンおよびフィブロネクチンの局在の変化を観察した。 その結果、病理組織学的には1日目および3日目で各移植材周辺に炎症性細胞の浸潤が認められ、5日目および7日目では線維芽細胞の規則的な配列が認められたがHAP群ではやや配列の規則性を欠いていた。14日目では各移植材周囲で同様の線維芽細胞の密な配列を認めた。一方、フィブロネクチンおよびI型、III型コラーゲンの局在の変化をレーザー走査型顕微鏡システムに直結した画像処理装置により、間接的にその蛍光度測定により評価した。その結果、フィブロネクチンの局在所見は、各移植材辺縁では経日的に減弱する傾向が認められ、移植材辺縁から最も高濃度を示す部位までの距離は経日的に長くなる傾向が認められた。I型、III型コラーゲンの局在所見は、各移植材辺縁でI型は7日目までと21日目までと2回にわたり増加する傾向にあり、III型は7日目まで増加しその後移植材周囲の細胞が密に配列するにしたがい減少する傾向が認められた。また、移植材辺縁から最も高濃度を示す部位までの距離はI型では14日目、III型では7日目から徐々に長くなる傾向が認められた。 以上の結果より、TBCおよびC-TBCは、HAPに比べ移植材周囲の線維芽細胞の配列が密になるにしたがいフィブロネクチン局在が徐々に減少したことから、初期には創傷治癒が旺盛に行われていることが示唆された。また、I型およびIII型コラーゲンの局在変化は、3種の骨移植材間でほぼ同様であることが認められた。そして、移植材辺縁から配列する線維芽細胞が成熟するにしたがい、III型コラーゲンの経日的増加に次いで線維芽細胞が産生したI型コラーゲンがこれと共存することが示唆された。
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